生活

面白いことは特にない、ただの日記です(投稿後に、二三日かけて書き直します)

握手をすることは風俗営業にはならない

去年の今頃だったかもしれぬが、乗った電車の隣に座った男性はおそらく30代前半の余りさえ無い雰囲気の(遠慮なく言わせてもらえば)オタクで、空いた車両のなかで、書店の包みから一冊の立派な写真集を取り出した。私でも知っているアイドルグループに所属している女性タレントの写真集だ。彼は、写真集の表紙でほほえむ彼女をじっと見つめていたが、突然写真集の表紙に口づけした。人目もはばからず。一途な愛情を発露させた。その後は、箍が外れたように、1ページずつ電車の車内でページをめくり、そのページでほほえむ彼女それぞれに(ページによっては彼女の姿が多数映っている)キスをし始めた。というか、キスをしまくっていた。
端で見ていると滑稽というか、不気味である。しかし、それは彼がお金を払って買った写真集で、それをどのように楽しもうが、たとえ電車の中でなめ回そうが、尻に敷こうが誰にも文句は言えないだろう。そのような商売を選び著名人になった時点で、彼女もそういったリスクは承知しなければならない。
写真集に姿を出すだけで十分スリリングである。これが握手会となると、その気持ち悪さはもう比べものにならない。
握手の権利をお金で売るという商売。
これは風俗営業として取り締まられるわけではないようだ。
握手となると、まさか手袋をするわけにいかないし、手を握られたら握り返さなければならないだろうから、これは商売と割り切って、感情を押し殺して、自分の右手は別の世界の何かだと言い聞かせて、それにしても相当きつそうだ。
全くお気の毒だ。
セキュリティ上のチェックは事務所と警察がやれば良い。
どんなに気持ち悪い雰囲気を醸し出していたとしても、僅かなお金を払って権利を買って行列を作る人の握手を拒絶することはできないのだろう。せめて、良く手を洗ってもらって、アルコールで消毒もお願いできたらしたいところだが、それとて行列を作る人たちの自由なのだろう。
それで儲けている事務所が、彼女たちの人権を踏みにじって搾取をしているように思えてきた。
ちょっと冷静にならなければ。