生活

面白いことは特にない、ただの日記です(投稿後に、二三日かけて書き直します)

森林資源

紙を作るにはセルロース繊維が必要。昨年の夏休み、次女の自由研究で再生紙作りを手伝った。簡単である。
材料となる古紙を用意し、質量を計る。おおよそ3-5%(w/v)となるように水を加えてミキサーに掛け粉砕する。再生紙パルプのできあがり。あとは金網で漉いて、水分を絞り出して乾燥させる。
できあがり。
自由研究では、色々な古紙材料を使ってやってみた。牛乳パックは大変上等な古紙材料となる。ラミネートされたフィルムを剥がすと真っ白な紙が現れる。繊維も長いから、きれいな白い再生紙が作れる。団ポールや新聞紙も結構良い紙が出来る。インクの色は付くけれども、しっかりした紙となる。
コピー用紙はぜんぜん駄目。再生はむつかしかった。
さて、地球温暖化が深刻な問題になっている。資源の有効活用や二酸化炭素排出抑制といった流れの中で、古紙再生をどのように位置づけるか。
ある人はバイオエタノールを使うべきだという。ある人は古紙を再生すべきと言う。
これらの問題は詰まるところ、地球上の炭素をどのように使い、何所に分配するかという問題に行き着く。化石燃料を含めて、地球上で利用可能なエネルギーのほとんどすべては太陽エネルギーに由来している。化石燃料は太古の昔に太陽エネルギーを使って植物が同化した炭化水素が地中に蓄積された財産のような物である。掘り起こして燃焼させると、地中深くに固定されていた炭化水素が酸化されて、二酸化炭素として空気中に放出される。
バイオエタノールに置き換えることで、地中の炭素を大気中に拡散させる量が減少する。しかしながら、バイオエタノールは一年単位で太陽エネルギーを炭化水素に変換する、いわば自転車操業のエネルギーである。また、太陽エネルギーを利用可能な化学エネルギーに変換する手段の1つに過ぎない。
一方、紙資源が貴重であるのはエタノールと同様の炭化水素(正確には炭水化物)であるからだ。バイオエタノールと同様、植物が太陽エネルギーを変換してセルロース繊維という炭水化物を合成する。
バイオエタノールは燃焼させて良いが、木材繊維(セルロース)の利用は駄目という理屈は矛盾を含む。因みに、パルプの素材となるセルロースエタノールの原料となるデンプンは僅かな構造の違いがあるだけで、素材としてはほぼ等価である。
アメリカの文房具として売られているノートブックは実に安っぽい。黄色く染色されており薄っぺらい。染色されている理由は、恐らく漂白するよりも染色する方が安上がりだからだろう。日本のノートは立派すぎる。ユーザーからの要求が高すぎるのだ。下らない目的に紙資源が浪費されている。紙資源を再生するとはいえ、例えばコミック誌を再生するには背綴じのノリ部分を除去する必要がある。インクなどを取り除き、漂白する必要がある。消費者の贅沢な要求に応えるために、薬剤が使用されエネルギーが浪費される。
如何に有効なリサイクルを行うか。例えば、マンガ雑誌を平綴じを止めて中綴じにするだけで、再生の効率は何割か向上するだろう。リサイクル材料を混ぜる率よりも、紙の消費そのものを抑える工夫が求められる。とにかく日本の社会は無駄に贅沢だ。