生活

面白いことは特にない、ただの日記です(投稿後に、二三日かけて書き直します)

トランジスタ

トランジスタ」って、聞いたことあるか?と職場の後輩に尋ねた。
トランジスタラジオ」のトランジスタですか?とのレスポンス。多分yesだが、彼が「トランジスタラジオ」を知っているのかどうか、さらに尋ねた。
アウトドアなんかで持ち歩きできるのが「トランジスタラジオ」じゃないんですか?
トランジスタは「持ち運び可能」という意味じゃないよ。トランジスタラジオと「普通のラジオ」はどう違うの?
中に「石」が入って居るんじゃなかったかな。
振ると「カラカラ」と音がするわけ?



昔のラジオは回路の中に真空管を使っていた。真空管は大きくて壊れやすくて電力を消費する。それに代わるものとして開発されたのがトランジスタ。低消費電力で壊れにくく、小さい半導体素子。半導体と云うくらいだから、電気信号を一方の向きに通す。
トランジスタを利用したラジオは小さく、消費電力も低いから、乾電池駆動し持ち運んで使えるようになった。
複数のトランジスタなどをさらに小さなチップの中に組み込んだものが集積回路(IC)集積度を上げたものがLSIと云うことだろう。
その昔には、回路の中にトランジスタを幾つ使っているか、ICを幾つ組み込んでいるかをカタログデータとして表示していた。トランジスタは「石」と表現されていたように思う。

ラジオ

今から30年ちょっと前、短波放送を受信することがちょっとしたブームになった。ブームになったのは、ラジオを買うことだったのかも知れない。とにかく、男の子は皆、短波放送を受信できるラジオを欲しがった。
ソニーという会社が、高級ラジオを売り出した。そのラジオのカタログには数字が並んでいた。トランジスタを幾つ、ICを幾つ使っています。3バンド、出力は何ワット、ジャック(コードを繋ぐ穴、端子)が幾つ。
ラジオを聴く本質とは余り関係のない数字が並んでいた。製品名にも数字が付いていた。
ごく普通のラジオの何倍かの値段。良くそのようなものを売ったものだ、というか、買ったものだ。私も買ってもらった。
海外の短波放送を受信して、受信記録を送ると、美しいベリカードという受信証を送ってもらえる。高性能ラジオを使って世界の放送局のベリカードを集めよう、と云うような宣伝文句だった。私は騙され、他の多くの男の子達も騙された。男の子達は昔も今も、カードを集めることに執着する。
ロッドアンテナを伸ばし、海外の放送を受信する。ラジオオーストラリアは比較的良く受信できた。もちろん、少年達が狙うのは、海外の放送局が送信する日本語放送である。内容が面白かったかどうか記憶にない。多分、子供たちには詰まらなかったか、まともに受信できなかったかのどちらかだろう。
子供たちの小遣いではとうてい手の届かない値段で、親にせがんだ。海外の放送を受信する。英語の勉強になるという言い訳。親たちは「英語の勉強」と云うセリフに弱い。
結局、一番良く受信できるのは、朝鮮人民中央放送の日本向けプロパガンダ放送である。ソニーは子供たちに分不相応なラジオを売りつけ、プロパガンダ放送を受信させたわけだ。
ラジオは流行ったが、短波放送はあまりはやらなかった。それから数年が経ち、高級ラジオの普及は深夜放送の流行の布石となったと思う。高級ラジオを布団の中に引きずり込み、当時北海道ローカル局で放送されていなかったパックインミュージックやセイヤングを比較的少ない雑音で聴いていた。