私は、自分がドリフターズ世代だと思っていた。私よりかなり若い人たちも、同じように感じていて、しかし、私は志村の加わったドリフターズをほとんど知らず、彼らに荒井注は伝説上のメンバーなのだ。
いかりやさんが死んだと聞いて、知り合いのおじさんがの訃報に接したような気分だった。ちょっと前に、ビストロスマップに出演していたのを偶然見た。復帰すると思っていた。
彼が年老いるより、速いスピードで、私も歳を取ったらしく、かつて遠い彼方に居たはずの彼が、いつの間にか、格好良い先輩として私の目に映っていた。不思議なもので、よくよく見れば、肉体的な衰えは隠せないのだが、私はなぜか、自分だけが歳を取ったような感覚を覚えた。
彼は、コントではツッコミの方である。ボケはスターになりうるが、ツッコミは目立たない、難しい役回りだ。４人プラスαのボケにツッコミ続ける。子どもの頃はそういうことに気付かない。ドリフターズはいかりやでもって居たのだと云うことをこの頃ようやく理解した。
公衆の面前で、悪態を突いたり、下品に振る舞うことの難しさを、当時の子どもは気付いていないし、親たちも知らぬ振りをしていたのだ。
いかりや氏は、志の高いチャレンジャーなのだ。これからの彼を見たかった。まだ見足りない。
