足元に何かあった。多分、あれだろうと思っていた。それはそのうち、私の上に乗っかり、私の顔を舐め始めた。
優しいキスのように思えなくもない。
とにかく目覚めることにした。
朝食を済ませて、妹に最寄りの地下鉄駅まで車で送ってもらうことにした。
姪も一緒に出かけるとのこと。
札幌市内は大雪の後で、道路脇には大量の雪が山になっている。平成も20年半ばを過ぎて、道都札幌でこの景色を見るとは思わなかった。幹線道路でさえ雪山が道幅を圧迫しており、自動車は徐行をしいられる。
地下鉄で札幌に向かい、そこで姪と別れてJRのホームに向かった。
札幌駅ホームは屋根があるが、外と同じで風が吹くと粉雪が吹き込む。
駅弁を買って電車を待つ列に並んだ。
何十年も繰り返している風景のはずだが、一向に改善されぬ冬の光景に北国の人々の忍耐強さを感じた。