生活

面白いことは特にない、ただの日記です(投稿後に、二三日かけて書き直します)

来るべき、そして既に来ている世

勝者の非情・弱者の瀰漫;内田樹

「弱者は醜い」という「勝者の美意識」に大都市圏の「弱者」たちが魅了されたという倒錯のうちに私はこの時代の特異な病像を見る。
先日書いたように、「弱者を守れ」という政治的言説はいままったくインパクトを失っている。
その声を「既得権益」を手放そうとしない「抵抗勢力」の悲鳴として解釈せよと教えたのが小泉構造改革のもたらした知られざる心理的実績である。

高村薫

現に、自民党はマニフェストそっちのけで郵政民営化だけを掲げて勝者となったのであり、してみれば初めから政策の勝負でなかったのは確かである。また有権者は、まずは改革の空気を支持したのであり、必ずしも改革の中身が正しく理解された結果だということもできない。

政治になにがしかの理念を求め、よりよい社会の実現を目指して試行錯誤する辛気臭い政治は終わった。(中略)野党が大きく後退してしまったいま、「民意」は対立軸もなく一つにまとめられ、おとなしく流されてゆくほかはない。

無理を承知で、抜粋した。毎日新聞紙上で「風の行方」と題したコラムの一節である。全編に高村氏の絶望的な気分が伝わってくる。絶望するしかないという、状況判断に、私も流されそうになる。もう暫く、様子を見ることにする。