生活

面白いことは特にない、ただの日記です(投稿後に、二三日かけて書き直します)

オープンカーのオーナーになること

職を持って、私はそこそこの収入に恵まれて、当初バイクを手に入れた。CBR400Fという、とても速い、格好良い、そして完全に私の腕には余る、苦痛に満ちたバイクだった。友人も増えて、経済的には少し余裕があったから、車を買うことにした。学生の頃、中古で親に買い与えられたホンダシビック、CVCCエンジン1500CCのなんの変哲もない小さな車に、私は完全に打ちのめされた。コロナ1600棺桶セダンゴロゴロシフト51年排ガス規制車しか知らなかった私には十分に強烈だった。その車は妹がいつの間にか下取りに出して、生き別れになってしまった。
所得を得るようになって、私が手に入れる車は開放的であるべきと思った。暑い日には窓を開け、寒い日には毛糸のマフラーを巻く。日差しが強ければサングラスに長そでを身にまとい、雨が降ったら雨宿りする。私はそういう生活を望んでいた。車の乗り心地が上等である必要はないし、贅沢な車も必要はない。車は私にとって生活の道具だ。車を私の生活スタイルに合わせるべきなのだ。
私の目の前には赤いカブリオレの中古車があり、私はそれを選んだ。
シティカブリオレは名車だ。鈴鹿8時間耐久だったと思うが、レース前のセレモニーで出場選手達が色とりどりのカブリオレに乗ってコースを一周していた。ホンダはシティという小型車にターボモデルを登場させ、ターボIIというモデルを元にカブリオレモデルを作った。当時、プジョー205のオープンモデルがあり、それが手本になったという印象を持っている。頑丈そうなロールバーを残し、カンバスの屋根をすっぽりと後に折りたたむことが出来る。屋根を外すために車体には相当な補強が入り鈍重である。派手なオーバーフェンダーにターボモデル向けの太めのタイヤが納まり、パワーアシストのないステアリングはかなりの腕力が必要である。車重と太いタイヤ、屋根が無い分重心が低く安定感があり運転はし易かった。私のカブリオレはホンダマチックと呼ばれるセミオートマチックで、マメにシフトを操作する必要があった。
運転そのものにも腕力が要る。厳しい気象条件をもろに受ける。(屋根を閉じれば、それなりの閉鎖空間が生まれる。エアコンも装備されていた)見かけより遥に硬派向けの車だったと思う。
いつも人目を意識する必要がある。自然から身を守る配慮が必要である。暑い日は暑さを我慢し、寒い日は寒さを我慢する。雨が降ったら、残念に思う。雪の日はお構いなしに暖かそうな格好で乗り込む。ちょっと停めておくのに盗難の心配が要る。荷物を置きっぱなしにするわけに行かない。車上荒らしに対する認識が一般車両とは異なる。
引っ越しの際に意外な能力を発揮する。屋根を開くと軽トラック的な使い方が出来る。ロールバーに腰掛けて、花火大会を眺めることも出来る。
もし、あなたがオープンカーが好きなら、オープンカーを好いてくれる人を選ぶべきだ。オープンカーを選んでくれる人なら間違いない。
懐かしい。