生活

面白いことは特にない、ただの日記です(投稿後に、二三日かけて書き直します)

オートバイを巡る危機的状況

これは参ったな。
ハンス・ムートというデザイナーが素晴らしいバイクを作り上げたときのこと。
世の中はバイクにとって余り有り難い状況でなく、但し、バイクの人気はそこそこ有って、しかしながらバイク雑誌には余り魅力的でないバイクが並んでいた。大型バイクの免許は、限定解除と呼ばれ、夢のまた夢のような状況だった。私には何が何だか良くわからなかったが、要するに、バイクは反社会的で、騒音をまき散らし、交通渋滞をもたらし、高校生を不良にして、中学生を無免許運転させて、暴走族は角材を持ち寄って殴り合い、家族は泣き、人生に落伍し、竹槍マフラーにシャコタンやハコスカやローレルやマジェスタやハイソカーや3人乗りや赤点に遅刻に万引きに、リーゼントにノーヘルにロックにブルーズにイージーライダーにラブアンドピースまで、この世でお役人の気に入らないこととPTAのあんぽんたんのご機嫌を取る校長の癪の種はすべてバイクが原因だという時代だった。
多分、まぁ、要するに印象操作か、或いは妄想でバイクは疎外され、ライダーは不当な扱いを受けていた。そりゃ暴走族と名乗る人は居たけれど、4輪の方が多かったはずだし、ライダーの中で反社会的な行動を取る人はごく僅かだったはずなのだ。社会に対するエクスキューズというか、とりあえず禁止という施策のひとつが3無い運動で、もう一つが中型限定免許で、最後のひとつがハンスムートデザインのバイクのなれの果てだった。
ヨーロッパのショウで発表された刀はそれは衝撃的だった。これがバイクなのかと思った。ホークIIを見慣れた子どもには全く違う世界の乗り物に見えた。ちょっと大げさな表現だが、その頃私はまだ子どもで、そういう気持ちになった。
で、そのバイクが日本で発売になったとき、メーターをカバーしていたスクリーンが外され、サイドカバーの「刀」というエンブレムが剥がし取られ、タンクの上にはニョッキリと耕耘機と揶揄されたアップハンドルがそそり立っていた。
ホンダにヤマハにスズキにカワサキは当時から大企業であったけれども、運輸省のお役人に頭が上がらないことは明白で、運輸省(今の国土交通省)のお役人がそういう人たちだということも明白だった。刀を耕耘機への改造を許可した運輸省のお役人の名前を知りたい。インタビューしたい。
その後免許制度は改正され、私の中型限定免許はいつの間にか普通自動二輪の免許に書き換えられていた。これは既得権の著しい侵害である。
中型限定免許が出来た背景を考えると、免許取得後5年で自動的に限定解除で何の問題もないはず。ホンダやヤマハやスズキやカワサキの経営者達は、そういったロビー活動をするべきだったのだ。で、相変わらず私は400cc以下の免許で、冒頭のホンダ二輪のラインアップ「生産終了」を見て、大変な危機感を募らせているのだ。
250ccVツインがラインアップから消えた。そして、モンキーゴリラも。