生活

面白いことは特にない、ただの日記です(投稿後に、二三日かけて書き直します)

犬を育てる

犬と散歩していると、いろいろなものとすれ違う。

私は、出勤時間に間に合うように散歩を済ませるので、ほぼ決まった時間に犬と家を出て、戻って来る。
出勤や登校、散歩やジョギング中の人々。ほとんどは、毎日すれ違ういつもの人である。
もちろん、犬を散歩させている人もいて、すれ違いざまに互いに挨拶することが多い。飼い主同士が知らん顔で通り過ぎようとしても、犬が互いにちょっかいを出すので、知らない振りはできない仕組みである。
我が家の未来くんは、視力障害をもつ保護犬が出自である。視力が弱いために、散歩中に出会う犬たちとうまく関係が作れない。激しく吠えられたり(未来は家の中では激しく吠えるが、外ではほとんど吠えない)、親しげに近づいてきた犬に対して凄んで手を出そうとする。犬同士のコミュニケーションができれば良いが、大抵の場合、「この子は仲良くできないんです。ごめんなさい」と引き下がる。余裕があれば、目が見えにくいことを説明して理解を求める。
障害のためか、この犬の生まれ持った性質の為か、どちらかはわからないが、未来は家の中で威張り散らして激しく吠える。彼が予期していない事象が起きた場合には身を守るために本気で咬みつく。視力が弱いせいで、できないことも多い。
噛むこと、吠えること、排尿の躾が十分でないこと。この三つで他人には任せられない犬ということになる。



たまたま、SNSで見かけた茶色に黒い斑の野犬上がりの保護犬の「ちくわ」という名前に大変意表を衝かれて、それ以来飼い主の京都大学の社会学者、岸先生に注目している。彼が出演した高橋源一郎氏のラジオ番組で「野犬の仔犬チトー」(伊藤比呂美著、光文社)が紹介されて興味を持った。
購入して一気に読み終えた。
猫を2匹、シェパードを1匹飼って、一人暮らししている著者が、保護犬となっていた野犬の子犬を引き取って一緒に暮らした約4年間の物語。自分たちの犬との生活と被って感じられることが沢山あって、大変興味深かった。
少しずつ信頼関係を構築しようと努める一方で、野犬として生まれたチトーと、決して超えられない一線があること。お互いがその線を尊重しつつ共存する筆者の根気強さ、深い配慮に心から敬意を示したいと思う。そして、我が家の未来と私の家族により良い将来がイメージできる気持ちになった。