生活

面白いことは特にない、ただの日記です(投稿後に、二三日かけて書き直します)

盲導

目の見えない犬さんとの生活に関するメモ
保護犬の里親になった。
その犬は、生まれつき、目の見えない柴犬の仔犬である。
少し前まで一緒に生活していた柴犬も、年老いてから目が見えなくなった。その犬との比較になる。
老犬は、階段を下りるのに時間がかかるようになって、そのうちに階段を降りられなくなった。階段を昇る方は時間を掛ければあまり問題なかった。散歩中に、マーキングしなくなった。
目の見えない犬は、初めての場所を怖がる。
犬と初めて出会った公園でも、蹲って動こうとしなかった。大人しく抱かれていた。
我が家にやってきた時も、しばらくはじっとして、周りの雰囲気を窺っていた。すぐに慣れて、動き回り始めた。
仔犬は、階段の上り下りが困難である。下りの方は転がり落ちるように下るが、昇る方はかなり困難そうに見える。
予防接種を終えて、いざ散歩をさせる段になって、犬が思い通り歩かないことに驚いた。
坂道を怖がる。遊歩道に上る道の上り下りにずいぶん苦労した。
散歩する遊歩道も、初めは全く歩こうとせず、ただ周りの音を聞いて匂いを嗅いでいた。
新しい道も、何か信頼できるものがないと歩こうとしない。
音や雰囲気に敏感である。散歩させていても、通り過ぎる自転車や他の犬や、子供たちの声に驚いて、立ち止まる。セミやカラスの鳴き声に怯えていた。
歩かない犬に付き合うのはかなりきつい。リードを引っ張るが、犬は全く歩かない。夏の一番暑い時期である。日向で立ち往生は辛い。夕方になると蚊が襲ってくる。これも避けたい。
歩かないのは、犬が不安に感じているからである。引っ張っても歩かないので、こういったときは犬に任せることが唯一の対処方法である。
犬は、初めての場所に来ると、まず周囲の匂いを嗅いで、雰囲気を感じ取って、安心すると少しずつ歩き始める。それで大丈夫と確信できれば、歩くスピードが早まっていく。
犬の五感のうち、視力が占める割合は、おそらく人間よりもかなり少ないのだろう。目が見えないはずだが、慣れた場所では視覚がないことを感じさせないような行動をしている。匂いと音、そして雰囲気で、日常生活には困らないようだ。
視覚が弱いことによるコミュニケーションの問題はあって、こちらの困った顔を彼は自覚できない。見せて覚えさせることができない。トイレトレーニングには苦労しているし、やたらと噛み付いてくる。何か興味を持ったらまず噛んで確かめようとする。噛まれると痛いので、これはかなり厄介だ。
それにしても、犬くんの素晴らしい能力には驚くばかりだ。
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